脳内日記

あることないことなんでも書きます。

「しるし」、まさかのリリース。

私が嫌いな物、それはカラオケだ。歌は好きだ、鼻歌とかよく歌うし、大学への通学中なんかにもよく聞いたりする。なんなら通学中にも鼻歌歌ったりする。でもそれは、人前で話したり会話するのは苦手だけど独り言はよくいってしまうみたいなもので、人に聞かせない分には全然好きだということだ。

 

しかし、カラオケとなるとそうはいかない。「いや人の歌なんて正直興味ないし盛り上がればそれでいいだけだよ」こういう人、よくいらっしゃるが。無理だよ、気にするよ。というかその盛り上げようとしてくれる感じが恥ずかしいし、人の歌なんて正直興味ないと正直に言われてもそれはそれで悲しい訳なんですな。あなたのブログ自体には全く関心が無いけど私の読者増やすために仕方なしにスター送っときますか的な悲しみを感じるのだ。

 

まあカラオケは嫌いなんだが、当然嫌いになったきっかけというものがある。別に食わず嫌いだとかそんな訳じゃない。かじったことはあるのだ。

 

あれは中二の夏休み。今でも鮮明に覚えている。晴れていた。雲が無かった。カゲロウが揺らめき、私たちの存在をおぼろげなものにしていた。興奮を抑えられない足早な私の首元には一筋の汗がつたっていた。その汗は私の首にぽつぽつと浮かんだ他の汗を巻き込んで、一つの大きな塊を作って流れていく。その様子は私の期待の膨らみようをも表現していた。しかし私は知らない。大きな汗のつぶはいつしか地へ落ち固く熱いアスファルトの上で蒸発してしまうように、私の期待もいつしか消えてなくなってしまうということに。

 

歌についてはある程度の自信があった。根拠があるわけではないが、歌は好きだし、大体のことは人並み程度には出来る。そんな自負が私の人前で歌うというプレッシャーを支え、むしろ凌駕していた。いや、出しゃばっていた。ぐいぐい前に出てきた。だからだろうか、私の一発目の選曲がミスターチルドレンのしるしだったのは。ゴリゴリのバラード。私は聴かせる歌を選んでいた。いや、無意識に選ばされていた。

 

さ~いしょか~らこうなることが、きまってたみ~たいに~中略

 

歌声がこだまする室内、沈黙の男達、ダーリン、ダーリン。歌声がこだまする室内、強張った顔の男達、いろんな顔を持つ君をしってるよ。歌声がこだまする室内、パッドを持つ男達、oh my darli-。

 

不意に演奏中断をされた。長い沈黙。私の脳裏によぎる一抹の不安。男の口が静かに開かれる。

 

「サビも音外してるね。」

 

狂おしく鮮明に僕の記憶を埋め尽くす

 

ダーリンダーリン

 

それ以降はソファに体育座りして一曲も歌わなかった。帰り道、日も傾き涼しくなったにも関わらず私の首筋には一筋の雫がつたっていた。その小さな雫はいつしか地面に落ちる。しかし熱を失ったアスファルトの上で、その雫の跡は残り続けるのだろう。私の心に刻まれた、決して消えない記憶のように。

 

これ、「さびも音外してる」の、も、の存在感がやばい。これって添加のもだから、つまり、最初からずっと音外してて、さびくらいは大丈夫かと思いきや、いやさびも音外すんかーいの、も、だから。も、なんて明らかなモブキャラに殺傷能力がこんなにあると思わなかったよ。たった一文字で人の心を修復不可能にするなんてさすがですわ。

 

ていうか、最初から音外して、さびも音外して、最後も音外してって。これもはや違う曲だよね。ミスチルのしるしじゃないよね。ミスチル歌ってたつもりが、いつのまにか私の新曲になってたよね。個性が強すぎるんだなやっぱり。気付けばこんなところまで来てたのか、いや知らなんだ。というわけで私の新曲、「しるし」、リリースします。